板谷敏彦

統治システムを隋・唐代と中国から輸入した日本は、宋代から中国とたもとを分かち、身分制を温存した。「中国化」の対立語は「江戸時代化」である。 日本は明治維新で一度は「中国化」するものの、選挙制度を通じて地域利権代表による「江戸時代化」へと逆戻りしてしまう。そのあらわれが、政治家の世襲、地縁、地元の利権などであった。 ところが今度は世界が「中国化」しはじめた。レーガンやサッチャーの新自由主義の波である。規制緩和は既得権益の撤廃を意味した。世襲議員が頼りなく見え、利権を持っていた業者、公務員、労働組合までも含めた既得権益がおかされる。これまで自分を守ってくれていた地縁にも終身雇用の会社にも頼れなくなってしまった。 「日本化」を克服するには「中国化」の道しかないのであろうか。